創立100周年記念事業

EVENT & PROJECT

開催報告「滋賀大学ビジネスサイエンスフォーラム」(2022年11月18日)

主催:滋賀大学、陵水会

2022年(令和4年)11月18日(金)、日経カンファレンスルーム(東京)で「滋賀大学ビジネスサイエンスフォーラム」を開催しました。

本フォーラムは、滋賀大学と同窓会組織である陵水会が共催して行っている創立百周年記念事業のひとつです。

「データサイエンス・AIが切り拓くビジネスイノベーション」をテーマに、本学が提唱するビジネスサイエンスの視点から、データサイエンスで変わるビジネスの未来を考察するとともに、デジタル時代をリードする滋賀大学を社会に広く発信し、関係者との交流を深めるとともに、経済・経営・データサイエンス分野の教育及び人材育成に関する社会啓発を目的に開催しました。

昨今のコロナ禍により活動が自粛される中にあって、会場には企業様中心に約100名、ウェビナーをあわせて約400名の方にご参加いただきました。

開催にあたり、多くの企業から協賛をいただきました。また、多くの関係省庁から後援をいただきました。深く御礼申し上げますとともに、今後ともご指導ご支援を賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。

なお、フォーラム概要は以下のとおりです。

竹村彰通学長の開会挨拶に続き、記念基調講演、招待研究報告及びパネル・セッションを行いました。

1.記念基調講演

"Data Science and Data Scientists in Today's Organizations”

Thomas Davenport 氏(President's Distinguished Professor of Information Technology & Management at Babson College)

ダベンポート氏は米国バブソン大学で情報技術と経営学を担当する学長付特別教授であり、デロイトアナリティクスのグローバルシニアアドバイザーを務められているほか、ハーバード・ビジネス・レビューなど多くの経営誌に寄稿されています。

データ活用の歴史を振り返りながら、ビジネスにおけるデータサイエンスの活用、データ分析やそれに基づく意思決定のあり方などについて、これからの展望や人材育成の重要性に触れつつご講演いただきました。特にデータサイエンティストが作成したモデルの実装(デプロイメント)に関わる問題や、彼らが行ってきた仕事のAI・機械学習による代替可能性についてご講演いただきました。

2.記念基調講演

「今、必要とされているビジネスサイエンス人材とは?」

ルゾンカ 典子氏(コスモエネルギーホールディングス株式会社 常務執行役員CDO、滋賀大学経営協議会委員)

ルゾンカ氏はビジネスにおけるデータ活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)の最前線で活躍されています。

日米の複数の企業においてスピード感のあるイノベーションへの動機付けとサステナブルな組織作りに取り組まれたご経験をもとに、これからのビジネスでどのような人材が必要とされているのか、大学などの教育機関に何を期待するかについてご講演いただきました。なぜ日本ではビジネスサイエンスが浸透にしくいのかという問題提起に始まり、学校教育やビジネスリーダーシップの類型との関係に触れ、データドリブンな組織に必要なスキルを洗い出すことの重要性についてご教示いただきました。

3.招待研究報告

「人材マネジメントとデータサイエンス:組織、社員、経営者/人事へのインパクトに注目して」 

服部 泰宏氏(神戸大学大学院経営学研究科准教授)

服部氏は経営学、特に組織行動論と人的資源管理論を専門とされ、「⽇本企業における組織と個⼈のかかわり合い」を軸に企業の人材採用に関する研究、組織と個人の関わり合いに関する研究に取り組まれています。企業の人材採用を分析して理論化した「採用学」のパイオニアとして著名な研究者です。

企業におけるデータサイエンス活用熱が高まる背景として、大きく分けて①個人の多様性や全体性への注目、②伝統的な個⼈の「優秀さ」への疑義、③人事担当者の専門性への懐疑という要因があることをご教示いただきました。

4.パネル・セッション

パネリスト:ルゾンカ 典子氏、服部 泰宏氏、神津 友武氏(デロイト トーマツ グループ パートナー)、竹村 彰通(学長)、中野 桂(経済学部長)、椎名 洋(データサイエンス学部長)
司会:澤木 聖子(経済学部教授)

パネル・セッションでは、ダベンポート氏の基調講演、ルゾンカ氏の基調講演、服部氏の研究報告を受け、滋賀大学の教育実践や先端企業の事例を紹介しながら、Society5.0社会におけるビジネスデータ活用と産業界との連携による人材育成についてディスカッションを行いました。

経済学部長、データサイエンス学部長から各学部の取り組みを紹介した後、デロイト トーマツ社の神津友武氏から、Society5.0社会におけるデロイトのデジタル人材育成をご紹介いただきました。

続いて、社会における企業がビジネスサイエンティストをどのように活用するのか、採用や評価についてパネリストによる意見交換を行いました。意見交換においては、大学における人材育成について産業界との連携の重要性が改めて確認されたところです。

フォーラムの締めくくりとして、陵水会の山田督理事長から閉会挨拶を行いました。

なお、12月下旬に日本経済新聞(全国版・朝刊)及び日経電子版にフォーラムの採録記事を掲載する予定です。

開会挨拶をする滋賀大学学長 竹村 彰通
これからの社会に必要な人材について講演する、ルゾンカ 典子氏(コスモエネルギーホールディングス株式会社 常務執行役員CDO、滋賀大学経営協議会委員)
企業の人材マネジメントにおけるデータサイエンス活用が注目されている背景を解説する服部 泰宏氏(神戸大学大学院経営学研究科准教授)
パネル・セッションの様子
滋賀大学経済学部長 中野 桂
滋賀大学データサイエンス学部長 椎名 洋
陵水会の山田督理事長による閉会挨拶